C言語におけるプログラムの開始と終了の仕様は、C++とくらべるとずっと単純です。これは主として、C言語にはコンストラクタやデストラクタを持つオブジェクトが存在しないからです。

プログラムの開始

プログラムの開始時には、C++でいうところの静的初期化だけが行われ、動的初期化は行われません。コンストラクタを持つオブジェクトがないからですが、それ以外にも、静的記憶域期間を持つオブジェクトの初期化子には定数式しか指定できないからでもあります。具体的には、

上記のようなコードはコンパイルエラーになります。このことにより、C言語では、処理系が提供する開始処理(いわゆるスタートアップ)をのぞき、main関数より先に実行される処理がないことになります。

プログラムの終了

C言語では、デストラクタを持つオブジェクトが存在しないため、プログラムの終了は非常に簡単です。exit関数を呼び出して正常終了する場合、まずはatexit関数で登録した終了処理関数を呼び出します。次に、オープンしているすべての出力ストリームをフラッシュしたあと、入力・出力を問わずすべてのストリームをクローズします。そして、tmpfile関数で作成した一時ファイルを削除します。最後に、ホスト環境に制御を移します。終了コードがどのように扱われるかは、規格上は未規定です。

main関数

C言語のmain関数は、C++のmain関数と同じですが、以下の点が異なります。

return文を省略した場合の振る舞い

C++では、main関数のreturn文を省略した場合、関数の最後にreturn 0;を記述したのと同じ振る舞いになりました。しかし、C言語ではそのような気の利いた仕様はありませんので、main関数はホスト環境に不定値を返すことになります。

main関数の呼び出し

C++では、main関数をプログラムから呼び出すことも、main関数へのポインタを取得することもできませんでした。しかし、C言語では、他の関数と同じように、main関数を呼び出すことも、main関数へのポインタを取得することもできます。


↑ C++98プログラマーのためのC89入門